親が亡くなった後は、葬儀や相続手続きだけでなく、実家の片付け、遺品整理、お墓の整理など、やることが次々に出てきます。
しかも、それぞれの手続きには期限があるものと、急いで行う必要がないものがあります。
そのため、「全部まとめて片付けなければ」と考えるよりも、期限のある手続きを先に進め、その後に実家や遺品、お墓の整理を順番に進めることが大切です。
この記事では、親が亡くなった後の相続から実家整理、遺品整理、墓じまいまでを時系列で整理します。
相続から遺品整理・墓じまいまでの全体像
親が亡くなった後の流れを大きく分けると、次のようになります。
相続・実家整理からその後の遺品整理・墓じまいまでの全体像は、相続・実家整理の総合ガイドで確認できます。
- 死亡後の手続き・葬儀
- 相続人と財産の確認
- 相続放棄などの判断
- 遺産分割・相続税の確認
- 相続登記など不動産の手続き
- 実家の整理
- 遺品整理
- 実家・空き家の売却や処分
- お墓・墓じまいの検討
すべてをこの順番どおりに行うわけではありません。
たとえば、遺品整理は相続財産の確認と並行して進めることもありますし、墓じまいは家族の話し合いや墓地の事情によって時期が変わります。
大切なのは、期限がある手続きを優先し、処分してはいけないものを先に確認することです。
まずは期限のある相続手続きを優先する
親が亡くなった直後は、実家の片付けよりも先に確認したい手続きがあります。
相続放棄・限定承認は原則3か月以内
借金などの負債がある場合は、相続するかどうかを早めに確認する必要があります。
相続放棄や限定承認には、原則として「自己のために相続開始があったことを知ったときから3か月」という熟慮期間があります。
財産や負債の状況がわからず判断できない場合には、家庭裁判所へ期間伸長を申し立てられる場合もあります。
そのため、実家の片付けを優先して、相続関係の確認を後回しにするのは避けましょう。
相続税の申告は必要な人だけ10か月以内
相続税がかかる場合には、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納税が必要です。
相続財産の総額を確認する際には、不動産だけでなく、
- 預貯金
- 株式などの有価証券
- 保険
- 車
- 貴金属
- 美術品
- 借入金などの債務
も確認します。
相続税の申告が必要かどうかは、財産の総額や相続人の数などによって変わります。
不動産の相続登記も忘れない
不動産を相続した場合は、相続登記も必要です。
2024年4月1日から相続登記が義務化され、原則として相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
実家を売却する場合でも、所有関係を整理しておく必要があります。
相続登記について詳しく確認したい方は、相続登記のやり方・期限・必要書類をご覧ください。
相続手続きと並行して実家を整理する
相続手続きを進めながら、実家の状態も確認しておきます。
ただし、最初から家具や荷物を大量に処分する必要はありません。
まずは、
- 通帳
- 印鑑
- 権利証・登記識別情報
- 保険関係の書類
- 年金関係の書類
- 契約書
- 借用書
- 遺言書
- 貴金属
- 有価証券
- 思い出の品
などを探します。
「古い書類だから不要」と判断せず、相続や契約に関係する可能性があるものは一度保管しておくと安心です。
実家を整理するときは「捨てる」より先に分類する
最初から、
捨てるものを探す
のではなく、
残すもの
→ 相続関係で確認するもの
→ 売却・買取を検討するもの
→ 処分するもの
という順番で分けると、重要なものを誤って処分しにくくなります。
実家の片付けを何から始めればいいかわからない方は、相続後の実家整理の進め方も参考にしてください。
遺品整理は相続財産を確認してから進める
実家の整理が進んだら、次に本格的な遺品整理を考えます。
業者に依頼する場合は、遺品整理業者の選び方も参考にしてください。
遺品整理では、家具や衣類だけでなく、貴金属やコレクション、写真、手紙、デジタル機器など、判断に時間がかかるものもあります。
そのため、一気に処分するのではなく、家族で残すものと処分するものを確認しながら進めましょう。
自分たちで行うか業者に依頼するかを決める
遺品整理は家族だけで行う方法もあれば、専門業者へ依頼する方法もあります。
次のような場合は、業者への依頼を検討しやすくなります。
- 実家が遠方にある
- 荷物が大量にある
- 家族だけでは作業できない
- 賃貸住宅で退去期限がある
- 高齢の家族だけでは対応できない
ただし、業者へ依頼する場合は、料金だけでなく作業内容や処分方法も確認しましょう。
国民生活センターも、遺品整理サービスについて、複数社から見積もりを取ること、追加料金や作業内容を確認すること、残す遺品と処分する遺品を明確にすることなどを注意喚起しています。
遺品整理の費用や業者選びを詳しく知りたい方は、遺品整理完全ガイドで確認できます。
実家を売る・貸す・解体する場合は空き家対策も考える
相続した実家を誰も使わない場合は、そのまま放置しないことも大切です。
空き家は、管理されない期間が長くなるほど、
- 建物の劣化
- 庭木の繁茂
- 不法投棄
- 防犯上の問題
- 近隣トラブル
- 税制上の不利益
などにつながる可能性があります。
住む予定がない場合は、
売却する
→ 貸す
→ 解体する
→ 管理を続ける
などの選択肢を比較しましょう。
空き家を放置した場合の税金や管理上のリスクについては、空き家放置の税金リスクと特定空家対策で詳しく解説しています。
お墓・墓じまいは家族で話し合ってから進める
実家の整理が進むと、次に「お墓をどうするか」という問題が出てくることがあります。
特に、
- 墓地が遠方にある
- お墓を継ぐ人がいない
- 管理する家族が高齢になった
- 子どもに墓守の負担を残したくない
- 親族の間で墓じまいを検討している
といった場合は、早めに話し合っておくとよいでしょう。
ただし、墓じまいは単純に墓石を撤去すれば終わるものではありません。
墓じまいでは遺骨の行き先を先に決める
墓じまいをする場合は、現在のお墓から遺骨を取り出した後、どこへ移すのかを決める必要があります。
たとえば、
- 新しい墓地へ移す
- 納骨堂へ移す
- 樹木葬などを検討する
- 永代供養墓へ移す
などの選択肢があります。
遺骨を別の墓地や納骨堂などへ移す「改葬」を行う場合は、市町村長の許可が必要です。
そのため、墓地の管理者や自治体に確認しながら手続きを進めます。
お墓や墓じまいの詳しい進め方は、お墓・墓じまい完全ガイドで確認できます。
相続から墓じまいまでを一気に終わらせる必要はない
親が亡くなった後は、相続、実家整理、遺品整理、お墓の問題まで一度に発生するように感じます。
しかし、すべてを短期間で終わらせる必要があるわけではありません。
優先順位をつけると、
最優先
- 死亡後の必要な届出
- 相続人の確認
- 財産・負債の確認
- 相続放棄などの判断
- 相続税の確認
次に進める
- 遺産分割
- 相続登記
- 実家の整理
- 遺品整理
- 実家の売却・管理
家族で検討しながら進める
- お墓の承継
- 墓じまい
- 改葬
- 新しい供養方法
というように分けて考えると整理しやすくなります。
相続後にやることは「期限」と「処分」を分けて考える
相続後の手続きで混乱しやすいのは、法律上の期限があるものと、家族の事情に合わせて進められるものが混在しているからです。
たとえば、相続放棄には原則3か月という期限があります。
一方で、遺品整理や墓じまいには、すべてのケースに共通する「○日以内」という期限があるわけではありません。
だからこそ、
期限のある手続きを先に確認する
↓
重要書類・財産を確保する
↓
実家を整理する
↓
遺品整理を進める
↓
空き家・実家の今後を決める
↓
必要に応じて墓じまいを検討する
という考え方が役立ちます。
よくある質問
相続が終わってから遺品整理を始めたほうがいいですか?
必ずしも相続手続きがすべて終わるまで待つ必要はありません。
ただし、相続財産になる可能性があるものや重要書類を確認する前に、大量の荷物を処分するのは避けたほうが安心です。
まず重要な書類や財産を確認し、その後に本格的な整理を進めましょう。
遺品整理には期限がありますか?
遺品整理そのものに、すべてのケースで共通する法定期限があるわけではありません。
ただし、賃貸住宅の退去、空き家の管理、相続税申告など、別の期限が関係する場合があります。
そのため、遺品整理だけを切り離して考えず、全体のスケジュールを確認することが大切です。
墓じまいはいつまでにすればいいですか?
すべてのケースに共通する「何か月以内」という期限があるわけではありません。
家族で相談し、墓地管理者や改葬先を確認しながら進めます。
遺骨を別の墓地などへ移す場合は、改葬許可が必要になるため、自治体への確認も必要です。
遺品整理業者はどこを見て選べばいいですか?
料金だけでなく、
- 作業内容
- 見積もりの内訳
- 追加料金
- キャンセル料
- 不用品の処分方法
- 貴重品の取り扱い
などを確認しましょう。
複数社から見積もりを取り、契約内容を比較することも大切です。
まとめ
親が亡くなった後は、相続手続き、実家整理、遺品整理、お墓の整理と、考えることが次々に出てきます。
ただし、すべてを同時に終わらせる必要はありません。
まずは相続放棄などの期限がある手続きを確認し、財産や重要書類を整理します。
その後、
- 実家を整理する
- 遺品を仕分ける
- 実家を売る・貸す・管理するなど今後を決める
- 必要に応じて遺品整理業者を利用する
- 家族でお墓の今後を話し合う
- 墓じまいや改葬を検討する
というように、一つずつ進めていきましょう。
相続・実家整理の段階から遺品整理、お墓の問題までを切り分けて考えることで、「何から手をつければいいかわからない」という状態を避けやすくなります。
この記事について
執筆・構成:どっぽ編集部
最終更新日:2026年9月

