介護保険の資格喪失手続きと高額介護サービス費|親が亡くなった後の手続き

終活
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親が介護保険を利用していた場合、亡くなった後には介護保険についても確認することがあります。

介護保険では、死亡によって被保険者資格を失うため、資格喪失に関する届出や被保険者証などの返却が必要になる場合があります。

また、亡くなるまでに介護サービスを利用していて、自己負担額が高額になっていた場合には、高額介護サービス費の支給対象になっている可能性があります。

ただし、

  • 介護保険の資格喪失手続き
  • 介護保険料の精算
  • 高額介護サービス費
  • 高額医療・高額介護合算制度

は、それぞれ別の制度です。

この記事では、親が亡くなった後に確認したい介護保険の手続きを、遺族が確認しやすい順番で整理します。

親が亡くなったら介護保険で確認すること

親が亡くなると、介護保険の被保険者資格を失います。

その後に確認したいのは、主に次の3つです。

確認すること内容
資格喪失介護保険の資格に関する手続き
保険料死亡後の保険料を精算
高額介護サービス費死亡前の介護サービス利用分を確認

一度にすべてを処理する必要はありません。

まず資格喪失の手続きを確認し、その後に保険料や給付について確認すると整理しやすくなります。

介護保険の資格喪失は死亡日の翌日

親が亡くなると、介護保険の被保険者資格を失います。

資格喪失に関する届出について、介護保険法施行規則では、被保険者証の交付を受けていた被保険者が資格を喪失した場合、14日以内に市町村へ届出をすることが定められています。死亡による資格喪失もこの手続きの対象になります。

死亡による資格喪失の場合、資格を喪失する日は原則として死亡日の翌日です。

そのため、親が亡くなったら、死亡日を確認したうえで、介護保険の資格喪失手続きについて市区町村へ確認しましょう。

介護保険の資格喪失届はどこに提出する?

資格喪失の届出先は、介護保険を運営する市区町村です。

介護保険法施行規則では、資格を喪失した場合の届書を市町村へ提出することが定められています。

実際の窓口名称は自治体によって異なりますが、一般的には、

  • 介護保険課
  • 介護保険担当窓口
  • 高齢者福祉担当窓口

などが窓口になります。

提出方法や必要書類は自治体によって異なる場合があるため、提出先の市区町村に確認してください。

資格喪失の手続きは14日以内

介護保険の資格喪失届は、資格を喪失した日から14日以内に提出することが定められています。

死亡による資格喪失の場合は、死亡日の翌日が資格喪失日となるため、実際の期限については市区町村に確認してください。

死亡届とは期限の考え方が異なるため注意しましょう。

死亡届との違い

死亡届と介護保険の資格喪失届は別の手続きです。

死亡届を提出したからといって、介護保険に関する確認がすべて終わるとは限りません。

介護保険の資格喪失で準備するもの

自治体によって必要書類が異なるため、事前に確認してください。

一般的に確認しておきたいものは次のとおりです。

  • 介護保険被保険者証
  • 資格確認に関する書類
  • 死亡したことが確認できる書類
  • 届出をする人の本人確認書類
  • 相続人等の確認に必要な書類

介護保険法施行規則では、資格喪失の届書に被保険者証や負担割合証を添えることが定められています。

ただし、自治体によって手続き方法や必要書類が異なるため、実際の提出時には自治体の最新案内を確認してください。

介護保険料はどうなる?

親が亡くなった場合、介護保険料についても精算が必要になることがあります。

死亡によって資格を喪失した場合、死亡後の期間について保険料をそのまま負担し続けるわけではありません。

一方で、死亡時点までの保険料について、

  • まだ納めていない
  • 納め過ぎている

といった状況があれば、追加徴収や還付が発生することがあります。

具体的な精算方法は、親の年齢、保険料の納付方法、死亡日、自治体の処理状況などによって異なります。

そのため、資格喪失手続きとあわせて、介護保険料の精算があるかも市区町村に確認しましょう。

高額介護サービス費とは?

高額介護サービス費は、介護サービスを利用した際の利用者負担額が、所得などに応じて設定された月額上限を超えた場合に、その超えた分が支給される制度です。

厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも、高額介護サービス費について、月々の利用者負担額が所得区分に応じた上限額を超えた場合、その超過分が介護保険から支給される制度として案内されています。

ただし、すべての介護関連費用が対象になるわけではありません。

高額介護サービス費の対象外となる主な費用

厚生労働省は、福祉用具購入費や食費・居住費など、一部の費用を高額介護サービス費の対象外として案内しています。

そのため、

「介護施設に支払った費用が高かったから、その超過分がすべて戻る」

という制度ではありません。

対象になる利用者負担額と対象外の費用を分けて確認することが大切です。

高額介護サービス費の月額上限はいくら?

高額介護サービス費の上限額は、所得区分などによって異なります。

厚生労働省の現行案内では、たとえば次のような区分が設けられています。

区分月額上限
課税所得690万円以上の65歳以上の方が同じ世帯にいる場合140,100円(世帯)
課税所得380万円以上690万円未満の65歳以上の方が同じ世帯にいる場合93,000円(世帯)
上記以外の住民税課税世帯44,400円(世帯)
世帯の全員が住民税非課税24,600円(世帯)
世帯全員が住民税非課税で、年金収入などが一定以下の方15,000円(個人)
生活保護を受給している方など15,000円(個人)

※所得区分や対象となる条件によって細かな扱いがあります。

※制度改正によって金額や区分が変更される可能性があるため、実際の申請時には厚生労働省または市区町村の最新情報を確認してください。

親が亡くなった場合でも高額介護サービス費を確認する

ここは見落としやすい部分です。

親が亡くなったからといって、亡くなるまでに発生した介護サービスについて、高額介護サービス費の対象となる可能性が自動的になくなるわけではありません。

亡くなるまでの介護サービス利用について、対象となる利用者負担額があれば、市区町村へ確認してください。

介護保険法では、高額介護サービス費は介護サービスの利用者負担額が一定額を超えた場合に支給する制度として定められています。

高額介護サービス費は申請が必要

高額介護サービス費は、原則として市区町村への申請が必要です。

介護保険法施行規則でも、高額介護サービス費の支給を受けようとする要介護被保険者は、必要事項を記載した申請書を市町村に提出することとされています。

自治体によっては、対象になる方へ申請書を送付し、初回申請後は同じ口座へ継続して振り込む仕組みを採用している場合があります。

そのため、親が亡くなった後に介護保険の書類を整理していて、高額介護サービス費の案内や申請書が見つかった場合は、処分せず市区町村へ確認しましょう。

高額介護サービス費の申請期限にも注意

高額介護サービス費は、介護保険法上の保険給付です。

介護保険法第200条では、保険給付を受ける権利について、権利を行使できるときから2年で時効により消滅すると定めています。

厚生労働省の資料では、高額介護サービス費について、一般的に介護サービス利用月の翌月1日から2年が支給を受ける権利の消滅時効期間として説明されています。

そのため、親が亡くなった後に未申請の高額介護サービス費がないか確認するときは、古い利用分についても市区町村へ照会してみましょう。

高額介護サービス費の対象か分からないときは?

「毎月いくら介護サービスを利用していたか分からない」

「高額介護サービス費の対象になっていたか分からない」

という場合でも、自己判断で対象外と決める必要はありません。

市区町村の介護保険担当窓口に、

  • 親の氏名
  • 生年月日
  • 介護保険被保険者番号
  • 死亡日
  • 利用していた介護サービス
  • 手元にある介護保険関係の通知

などを伝え、対象となる高額介護サービス費が残っていないか確認してください。

介護施設を利用していた場合に確認したいこと

親が施設に入所していた場合は、介護保険だけでなく施設への支払いについても整理しておきましょう。

確認したいものは、

  • 介護サービス利用料
  • 食費
  • 居住費
  • 日用品費
  • 医療費
  • 未払い分
  • 預け金
  • 施設への精算金

などです。

特に、介護サービスの自己負担額と、食費・居住費などの保険給付とは別の費用を混同しないようにしましょう。

高額介護サービス費の対象範囲と、施設に支払った総額は同じではありません。

高額医療・高額介護合算制度も確認する

介護費だけでなく医療費も大きくなっていた場合には、高額医療・高額介護合算制度の対象になる可能性があります。

これは、医療保険の自己負担と介護保険の自己負担を合算し、世帯の負担が一定の基準を超えた場合に、超えた分を支給する仕組みです。

高額介護サービス費とは別の制度なので、

「高額介護サービス費を確認したから、医療費との合算も確認済み」

とは限りません。

親が長期間入院しながら介護サービスも利用していた場合などは、医療保険側の制度もあわせて確認してください。

親が亡くなった後の介護保険チェックリスト

最後に、確認することをまとめます。

チェック確認すること
□介護保険の資格喪失について確認
□介護保険被保険者証等を確認
□必要な届出・提出期限を確認
□介護保険料の再計算・精算を確認
□保険料の還付・不足の有無を確認
□高額介護サービス費の未申請分を確認
□高額介護サービス費の申請方法を確認
□高額医療・高額介護合算制度を確認

一度にすべてを処理する必要はありません。

まずは、資格喪失手続きと介護保険関係の書類の整理から始め、その後に高額介護サービス費や保険料の精算を確認すると整理しやすくなります。

親が亡くなった後は健康保険の手続きも確認する

介護保険の手続きが終わったら、健康保険についても確認します。

健康保険は介護保険とは別の制度なので、資格喪失や葬祭費などの手続きが必要になる場合があります。

詳しくは次の記事で整理しています。

健康保険の資格喪失・葬祭費の手続き|親が亡くなった後に確認すること
親が亡くなった後の健康保険手続きを解説。資格喪失や資格確認書の返却、国民健康保険・後期高齢者医療の葬祭費、会社員の埋葬料・埋葬費、申請期限まで整理します。

また、親が亡くなった後に必要な手続きを全体から確認したい場合は、次の記事を参考にしてください。

親を亡くした直後にやるべき手続き一覧|14日・3か月・10か月の期限で解説
親を亡くした直後にやるべき手続きを、7日・14日・3か月・10か月の期限別に整理。相続放棄や相続税申告など見落としやすい期限も、実体験を交えてわかりやすく解説します。

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FAQ

親が亡くなったら介護保険の手続きは必要ですか?

死亡によって介護保険の被保険者資格を喪失するため、資格喪失に関する届出などを確認する必要があります。

介護保険法施行規則では、被保険者証の交付を受けている被保険者が資格を喪失した場合、14日以内に市町村へ届出をすることが定められています。

具体的な提出方法や必要書類は、親が住んでいた市区町村へ確認してください。

介護保険の資格喪失届は死亡届とは別ですか?

別の手続きです。

死亡届は戸籍上の死亡を届け出る手続きで、介護保険の資格喪失届は介護保険の被保険者資格を喪失したことに関する手続きです。

死亡届を提出しただけで介護保険に関するすべての手続きが完了するとは限りません。

親が亡くなった後でも高額介護サービス費を請求できますか?

亡くなるまでに利用した介護サービスについて、高額介護サービス費の対象となる利用者負担が残っている場合があります。

ただし、実際に遺族がどのように請求できるかは、自治体での処理状況や請求内容などによって異なります。

未申請のものがないか、市区町村の介護保険担当窓口へ確認してください。

高額介護サービス費は介護施設に払った費用が全部戻る制度ですか?

いいえ。

高額介護サービス費は、所得区分に応じた月額上限を超えた一定の利用者負担額が対象となる制度です。

福祉用具購入費や食費・居住費など、対象外となる費用があります。

高額介護サービス費の申請期限はありますか?

あります。

介護保険法では、保険給付を受ける権利について原則2年の消滅時効が定められています。厚生労働省資料では、高額介護サービス費について、一般的に介護サービス利用月の翌月1日から2年とされています。

古い利用分がある場合は、早めに市区町村へ確認してください。

介護保険料を払い過ぎていた場合はどうなりますか?

死亡による資格喪失に伴って、介護保険料の精算が行われる場合があります。

払い過ぎがある場合や不足がある場合の具体的な扱いは、親の納付状況や自治体によって異なるため、市区町村へ確認してください。

この記事について

執筆・構成:どっぽ編集部
最終更新日:2026年9月

本記事は、厚生労働省が公開している介護保険制度・介護保険法令・高額介護サービス費に関する情報をもとに、親が亡くなった後に確認したい手続きを整理したものです。

介護保険の資格喪失や保険料の精算、高額介護サービス費の請求方法などは、個別の状況や自治体の運用によって異なる場合があります。

具体的な手続きや必要書類については、親が住んでいた市区町村の介護保険担当窓口へ確認してください。

参照元

  • 厚生労働省「介護保険法」
  • 厚生労働省「介護保険法施行規則」
  • 厚生労働省「介護保険法施行令」
  • 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」
  • 厚生労働省「費用負担に関する事項等」