大切な家族を見送った後、遺品整理と並行して「墓じまい」や「相続」の手続きにも向き合うことになるケースは少なくありません。
この記事では、遺品整理とこれらの手続きがどのように関係しているのか、全体像を整理して解説します。
こんな方におすすめの記事です。
- 実家の親が亡くなり、遺品整理と同時にお墓の今後も考える必要がある
- 相続人が複数いて、遺産分割がまだ決まっていない
- お墓の承継者がおらず、墓じまいを検討している
- 実家が遠方にあり、まとめて進める方法を知りたい
遺品整理と墓じまいが同時期に発生する理由
遺品整理と墓じまいは、一見別々の手続きに見えますが、実際には**「実家じまい」という一つの大きな流れの中で、同時期に発生することが多い**テーマです。
たとえば、以下のようなケースが考えられます。
- 実家に住んでいた親が亡くなり、遺品整理と同時に、実家近くのお墓の管理者(自分自身)がいなくなる
- 子や孫が遠方に住んでおり、実家の片付けと、お墓の管理継続の両方が難しい
- 高齢の親が、自分の代でお墓の管理を終わらせたいと考え、生前から遺品整理・墓じまいの両方を検討し始める
このように、「実家」という拠点そのものを整理するという意味で、遺品整理と墓じまいは密接に関連しています。
どちらか一方だけを進めても、もう一方の問題が残ってしまうことも多いため、同時に検討することで、全体の見通しが立てやすくなります。
相続財産としての遺品の扱い
遺品整理を進める際、見落とされがちなのが「相続財産としての側面」です。
遺品の中には、貴金属、骨とう品、現金、通帳、有価証券、不動産の権利証など、相続財産の一部とみなされるものが含まれることがあります。
相続人が複数いる場合、遺産分割協議が終わる前にこれらを処分してしまうと、後々のトラブルにつながる可能性があります。
また、遺品整理の中で遺言書が見つかった場合は、勝手に開封しないでください。
自筆で書かれた遺言書(法務局で保管されているものを除く)は、家庭裁判所で検認という手続きが必要になります(民法1004条)。公正証書遺言と、法務局で保管されている自筆証書遺言は、検認は不要です。
また、**お墓や仏壇といった「祭祀財産」**は、通常の相続財産とは異なる扱いを受け、遺産分割の対象にはならず、慣習に従って祭祀を主宰する一人が承継する(民法897条)という考え方が取られています。
墓じまいや、墓石の名義変更を検討する際は、この祭祀財産としての位置づけも踏まえて進める必要があります。
墓石にかかる相続税・税金についての詳しい解説は、以下の記事もあわせてご覧ください。
墓石は相続税がかからない?生前購入と税金の疑問を解説墓石や墓地の税金を解説。相続税がかからない理由、生前購入が相続税対策といわれる仕組み、ローンの注意点、消費税・固定資産税の扱いを表で整理しました。
相続放棄を検討している場合の注意点
もし相続放棄を検討している場合、遺品を処分する行為が、「相続を単純承認した」とみなされてしまうリスクがあるため、特に注意が必要です。
民法921条では、相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなす、と定められています。
相続放棄の手続きが完了する前に、価値のある遺品を売却したり、大量に処分したりしてしまうと、後から相続放棄が認められなくなる可能性があります。
相続放棄を視野に入れている場合は、遺品整理に着手する前に、必ず弁護士や司法書士といった専門家に相談することをおすすめします。
遺品整理そのものを急ぐ前に、相続に関する方針を先に固めておくことが、後々のトラブルを防ぐうえで重要です。
また、相続放棄は、自分が相続人になったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申し立てる必要があります(民法915条、938条)。事情によっては、この期間を、家庭裁判所に申し立てて延ばせる場合もあります。期限が近づく前に、専門家へ相談しておきましょう。
相続全体の流れと期限は、こちらの記事で一覧にしています。
相続の全体像|親が亡くなった後に必要な手続きと期限を一覧で確認親が亡くなった後の相続手続きを、時系列で整理。遺言書・相続人・財産と負債の確認から、3か月・4か月・10か月の期限、相続登記、実家整理までの全体像をまとめました。
相続の方針が決まったら、遺品整理の相談も進めておきませんか?
相続放棄をしない場合、遺品整理そのものは並行して進めることができます。まずは見積もりを相談してみましょう。
遺品整理の見積もりを相談する※「遺品整理110番」の見積もり相談ページに移動します。見積もり後に断ることもできます。なお、対応エリアや加盟店により、事前確認のうえ見積もりに費用がかかる場合があります(公式案内)。
実家じまいを進める際の全体の流れ
遺品整理と墓じまいを含めた「実家じまい」を進める場合、一般的には以下のような流れになります。
| 順序 | やること | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 遺品整理 | 実家の荷物を仕分け、必要なものと処分するものに分ける |
| 2 | 相続手続きとの調整 | 価値のある遺品や不動産について、相続人間で情報を共有する |
| 3 | 墓じまいの検討 | お墓の管理を継続するか、改葬(墓じまい)するかを検討する |
| 4 | 改葬先の決定 | 墓じまいをする場合、永代供養墓・樹木葬・新しい墓地への改葬など、次の供養先を決める |
| 5 | 各種手続きの実施 | 改葬許可申請などの行政手続きを進める |
これらは必ずしも順番通りに進める必要はなく、並行して進めることも可能です。
特に、実家が遠方にある場合など、一度に済ませられる作業はまとめて行うことで、移動や手間の負担を減らせることもあります。
墓じまいの具体的な費用や手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。
墓じまいの費用相場|離檀料・撤去費用・改葬先別に解説墓じまいの費用相場を、墓石の撤去・離檀料・閉眼供養・改葬先(一般墓・永代供養墓・樹木葬・納骨堂)別に解説。改葬許可の手続きの流れ、親族・菩提寺への相談のタイミングまでまとめました。
実家が遠方にある場合の進め方は、こちらの記事で解説しています。
遠方の実家を片付ける・処分する完全ガイド|通わずに進めるコツと業者に一括依頼するメリット遠方の実家を、何度も通わずに片付ける方法を解説。現状の確認から、自分で進める場合の手順、業者に依頼するときの確認項目、片付けた後の売却・解体までを整理します。
実家じまいと一緒に、お墓の手続きも考える方へ
お寺や霊園への連絡、行政手続き、石材店の手配など、墓じまいにはやることが多くあります。遠方で通えない、仕事で時間が取れないといった場合は、「どこまで自分でやり、どこから任せるか」を決めて、代行サービスに相談する方法もあります。「墓じまいパートナーズ」では、依頼する範囲を選べると案内されていて、無料で相談できます。
墓じまい代行について無料で相談する※「墓じまいパートナーズ」の無料相談ページに移動します。工事費とは別に、代行を依頼した範囲に応じた代行料がかかる場合があります(公式案内)。
実家(不動産)の扱いについても検討が必要
遺品整理と墓じまいに加えて、実家そのものの不動産をどうするかという問題も、あわせて検討することになるケースが多くあります。
売却する、賃貸に出す、空き家のまま管理を続けるなど、選択肢はいくつかありますが、いずれの場合も、遺品整理が完了していることが前提になります。
空き家を放置すると、老朽化による近隣トラブルや、固定資産税の負担が続くといった問題が生じることもあります。
遺品整理・墓じまいの検討と並行して、実家の今後についても早めに方針を話し合っておくことをおすすめします。
墓じまいをする場合、改葬先として新しく墓石を建てるなら、複数の石材店を比較することをおすすめします。
墓石ナビで墓石見積もりは何社比較すべき?費用を抑えるおすすめの進め方墓石の見積もりは何社比較すべきかを解説。社数の目安、比較するときの7つのチェックポイント、同じ条件で依頼するコツ、指定石材店制度の注意点、墓石ナビの進め方までまとめました。
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専門家への相談も選択肢に
遺品整理・相続・墓じまいが複雑に絡み合う場合、すべてを自分たちだけで判断しようとせず、専門家に相談することも有効な選択肢です。
- 相続全般については、弁護士・司法書士
- 相続税については、税理士
- 墓じまいの行政手続きについては、行政書士や、霊園・寺院の管理者
それぞれの専門分野に応じて相談先を使い分けることで、判断に迷う場面でも、適切なアドバイスを得ながら進めやすくなります。
相続税の申告期限と計算の基本は、こちらの記事で解説しています。
相続税の申告期限は10か月|基礎控除・計算方法・無申告加算税を解説親が亡くなった後、相続税の申告が必要になる基準と10か月の期限を解説。基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」、相続税の基本的な計算方法、遺産分割が終わらない場合、期限を過ぎた場合の無申告加算税・延滞税まで整理します。
遺品整理を業者に依頼するときの注意
遺品整理を業者に依頼する場合は、次の点に注意してください。自治体の消費生活センターも、遺品整理サービスをめぐるトラブルについて、注意を呼びかけています。
- 契約の前に、見積書をもらい、作業日、具体的な作業内容、料金、支払い方法、キャンセル料などを確認する
- 残しておく遺品と処分する遺品を、はっきり分けておき、作業中は、できるだけ立ち会う
- 当初の説明と違う料金を請求されるなど、困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センターに相談する
相続放棄を検討している場合は、先に専門家へ相談してから、遺品整理に着手する点も、忘れないでください。
まず何から始めればいいか迷ったら
これまでの内容を踏まえて、最初に確認しておきたいことをチェックリストにまとめました。
- 相続放棄を検討している場合は、遺品整理に着手する前に弁護士・司法書士へ相談したか
- 遺品整理の中で遺言書が見つかった場合、開封せずに、家庭裁判所での検認の要否を確認したか
- 価値のありそうな遺品(貴金属・骨とう品・通帳・権利証など)を、処分する前に写真で記録したか
- 貴重品を、相続人全員が把握できる場所に保管しているか
- お墓の管理者が誰か、使用許可証・契約書の有無を確認したか
- 実家(不動産)を売る・貸す・空き家として管理するか、方向性を家族と話し合ったか
すべてを一度に終わらせる必要はありません。一つずつ確認しながら進めていきましょう。
【まとめ】
遺品整理と墓じまい・相続は、それぞれ独立した手続きのようでいて、実際には「実家じまい」という一つの大きな流れの中でつながっています。
どちらか一方だけを先に進めるのではなく、全体像を把握したうえで、無理のないペースで並行して検討することが、後悔のない整理につながります。
実家じまい、まずは遺品整理から始めませんか
遺品整理・相続・墓じまいは同時に発生しやすいテーマです。焦って一人で抱え込まず、一つずつ、必要であれば専門家の力も借りながら進めましょう。
- 相続放棄を検討中なら先に専門家へ相談する
- 価値のある遺品は写真で記録してから整理する
- お墓の管理者・使用許可証を確認する
- 実家の今後の方針を家族と話し合う
遺品整理の見積もりを相談してみましょう。見積もりを依頼するときは、見積書の内訳と追加費用の条件を確認し、必要に応じて他の業者とも比較してください。
遺品整理の見積もりを相談する※「遺品整理110番」の見積もり相談ページに移動します。見積もり後に断ることもできます。なお、対応エリアや加盟店により、事前確認のうえ見積もりに費用がかかる場合があります(公式案内)。
遺品整理全体の進め方について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
遺品整理の完全ガイド|費用相場・業者の選び方・進め方を徹底解説遺品整理の費用相場、業者の選び方、進めるタイミング、買取と処分の考え方を、はじめての方向けに解説。作業前に確認したいものや、見積もりで確認したい点までまとめた完全ガイドです。
この記事について
執筆・構成:どっぽ編集部
最終更新日:2026年10月










