親が亡くなり、故人名義の車が残った場合は、自動車の所有者を相続人など新しい所有者へ変更する手続きが必要です。
「車の名義変更はいつまで?」
「どこで手続きする?」
「相続人全員の印鑑が必要?」
「車を売る場合も名義変更が必要?」
このように、親が所有していた車の相続には分かりにくい点があります。
自動車の手続きは、普通自動車・軽自動車などで窓口や書類が異なるため、まず車検証を確認することが大切です。
この記事では、親が亡くなった後に自動車を相続する場合の名義変更について、手続き先、期限、必要書類、相続人全員の合意が必要になるケース、売却・廃車する場合まで整理します。
親が亡くなったら自動車の名義変更が必要
まず車検証の「所有者」を確認する
最初に確認したいのは、車を実際に使っていた人ではなく、車検証に記載された所有者です。
親が運転していた車でも、車検証の所有者が親とは限りません。
たとえば、ローンで購入した車では、ディーラーや信販会社などが所有者として登録されている場合があります。
国土交通省も、車検証の「所有者の氏名又は名称」を確認するよう案内しています。
所有者がディーラー・ローン会社なら相続手続きではない
車検証の所有者が親ではなく、ディーラーやローン会社などになっている場合は、通常の相続による名義変更とは手続きが異なります。
この場合は、まず車検証に記載された所有者へ確認しましょう。
相続による手続きを行う前に、**「誰が所有者なのか」**を確認することが出発点です。
自動車の名義変更はいつまで?原則15日以内
普通自動車の移転登録は原則15日以内
普通自動車などの登録自動車について、所有者が変わった場合は、道路運送車両法に基づき、原則としてその事由があった日から15日以内に移転登録を申請することになっています。
国土交通省も、所有者の名義が変わった場合は15日以内に移転登録を行うよう案内しています。
相続の場合は、遺言や遺産分割協議などによって、誰が車を取得するのかを整理したうえで手続きを進めます。
相続では新しい所有者が決まった後の手続きも確認する
相続では、死亡した時点ですぐに一人の相続人の名義になるとは限りません。
遺言書があるのか、相続人が複数いるのか、遺産分割協議をするのかなどによって必要書類が変わります。
そのため、**「15日だから、相続関係を確認せずに急いで申請する」**という考え方ではなく、誰が車を取得するのかを確認したうえで、速やかに手続きを進めます。
期限を過ぎても放置せず管轄窓口へ相談する
すでに15日を過ぎている場合でも、名義変更をそのまま放置しないことが重要です。
国土交通省・運輸局の案内では、自動車の所有者が変わった場合の移転登録が必要とされています。
必要書類や手続き方法が分からない場合は、車検証を手元に用意して、車の使用の本拠を管轄する運輸支局などへ確認しましょう。
自動車の名義変更はどこで行う?
普通自動車は運輸支局
普通自動車などの登録自動車は、原則として車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所で手続きを行います。
相続による移転登録では、管轄や相続方法によって必要書類が異なります。
軽自動車は軽自動車検査協会
軽自動車の場合は、普通自動車とは窓口が異なり、軽自動車検査協会で名義変更の手続きを行います。
軽自動車検査協会では、相続による名義変更について、戸籍謄本等または法定相続情報一覧図など、死亡した所有者と新所有者との相続関係を確認できる書面を案内しています。
原付は市区町村
原付バイクなどは、普通自動車・軽自動車とは手続き先が異なります。
原付を相続する場合は、登録している市区町村へ確認してください。
この記事では主に普通自動車の相続による名義変更を扱います。
相続による自動車名義変更の基本的な流れ
①車の所有者を確認する
車検証を確認し、親が所有者として登録されているかを確認します。
②誰が車を相続するか決める
遺言書がある場合はその内容を確認します。
遺言書がない場合などは、相続人の間で車を誰が取得するのかを整理します。
③必要書類をそろえる
相続方法に応じて、戸籍謄本等、法定相続情報一覧図、遺産分割協議書、印鑑証明書などを準備します。
必要書類は相続方法によって異なるため、事前に管轄の運輸支局へ確認するのが安全です。
④管轄窓口で名義変更する
必要書類をそろえたら、管轄の運輸支局などで移転登録を行います。
本人が手続きする方法のほか、委任状を利用して代理人に依頼できるケースもあります。
⑤自動車保険・税金などを確認する
名義変更が終わったら、自賠責保険や任意保険、自動車税などについても確認します。
自動車の相続に必要な書類
必要書類は、単独相続、共同相続、遺言書による相続などで変わります。
そのため、ここでは代表的な書類を整理します。
車検証
現在の自動車検査証を用意します。
まず車検証で、所有者・使用者・使用の本拠などを確認しましょう。
戸籍謄本等または法定相続情報証明書
国土交通省の運輸局資料では、死亡した所有者の死亡事実と相続人との関係を確認できる戸籍謄本等、または法定相続情報証明書などが案内されています。
戸籍だけでは関係が確認できない場合、改製原戸籍などが必要になることがあります。
遺産分割協議書が必要になるケース
相続人のうち一人が車を取得する場合など、遺産分割協議によって車の取得者を決めるケースでは、遺産分割協議書が必要になることがあります。
運輸局の案内では、相続人全員の実印を押印した遺産分割協議書が代表的な書類として示されています。
ただし、すべての相続で遺産分割協議書が必要になるわけではありません。
遺言書や調停調書など、別の相続関係書類で手続きできる場合があります。
新所有者の印鑑証明書など
単独相続の場合、新所有者となる相続人の印鑑証明書などが必要になります。
本人が申請するのか、代理人が申請するのかによっても必要書類が変わる場合があります。
車庫証明などが必要になるケース
新しい使用者の住所や使用の本拠が変わる場合などには、自動車保管場所証明書が必要になることがあります。
車庫証明が必要かどうかは、車の使用の本拠や登録内容によって異なるため、管轄窓口で確認しましょう。
相続人全員の合意は必要?
1人が相続する場合
相続人の一人が車を取得する場合は、その人を新しい所有者として手続きを進めます。
遺産分割協議によって取得者を決めた場合は、相続人全員の合意を示す遺産分割協議書が必要になるケースがあります。
ただし、これは「相続人全員が陸運支局の窓口へ行かなければならない」という意味ではありません。
相続人全員で共同相続する場合
相続人全員で車を共同相続する場合は、単独相続とは必要書類が異なります。
関東運輸局では、共同相続の場合について、相続人全員の印鑑証明書や実印等を必要書類として案内しています。
したがって、単独相続と共同相続を同じ書類構成で考えないことが重要です。
遺言書がある場合
遺言書によって車の取得者が決まっている場合は、遺産分割協議とは異なる手続きになります。
運輸局の案内では、公正証書による遺言書や、検認済みの遺言書などが相続関係を証明する書類として挙げられています。
遺言書の種類や検認について詳しく知りたい場合は、
遺言書の種類と検認が必要なケース|親が亡くなった後に確認すること親が亡くなった後に遺言書が見つかった場合、自筆証書遺言・公正証書遺言などの種類と、家庭裁判所の検認が必要かを確認しましょう。封印された遺言書の扱いや検認の申立てもわかりやすく解説します。
も確認してください。
相続放棄した人がいる場合
相続人の中に相続放棄をした人がいる場合は、通常の相続とは必要書類が異なる場合があります。
関東運輸局では、相続放棄申述受理証明書について案内しています。
相続放棄そのものについては、
相続放棄・限定承認とは?|3か月以内の期限・手続き・注意点を解説相続放棄と限定承認の違い、3か月以内の熟慮期間と期間伸長の制度、家庭裁判所への申述、先に財産を処分しない注意点を整理。借金がある場合の判断の進め方も解説します。
で詳しく確認してください。
自動車を売却・廃車する場合
相続した車を売却する
相続した車を売却する場合は、誰が車を取得するのかを明確にしたうえで、必要な名義変更・譲渡手続きを進めます。
相続と第三者への名義変更を同時に行う手続きもありますが、必要書類が増えるため、事前に運輸支局へ確認しましょう。
相続した車を廃車にする
車を使用しない場合は、相続による名義変更だけでなく、抹消登録などの手続きが必要になる場合があります。
関東運輸局では、相続と一時抹消登録、永久抹消登録を同時に行う場合の必要書類も案内しています。
売却・廃車の手続きは事前に管轄窓口へ確認する
「相続した車を売る」「車を廃車にする」など、最終的な目的が決まっている場合は、最初からその目的を運輸支局へ伝えて相談するとスムーズです。
相続・第三者への譲渡・抹消登録を組み合わせると、単純な名義変更とは必要書類が変わります。
自賠責保険や自動車税も確認する
自賠責保険の名義変更
自動車の所有者が変わった場合は、自賠責保険についても保険会社へ確認します。
自賠責保険の具体的な名義変更方法や必要書類は、加入している保険会社によって確認してください。
元記事では特定の保険会社名や一律の必要書類を列挙していましたが、ここでは保険会社ごとの違いを考慮し、一般化しすぎない形にします。
自動車税・軽自動車税
自動車を相続した場合は、名義変更だけでなく、自動車税・軽自動車税についても確認します。
税の扱いは普通自動車と軽自動車で異なるため、都道府県・市区町村などの案内を確認しましょう。
保険会社や自治体への確認も忘れない
名義変更が終わったら、
- 自賠責保険
- 任意保険
- 自動車税
- 軽自動車税
- 車庫関係
など、車に関係する手続きが残っていないか確認します。
よくある質問
親が亡くなったら車はすぐ名義変更する?
速やかに手続きを進める必要があります。
普通自動車などの移転登録については、所有者の変更があった場合、原則として15日以内の申請が必要です。
ただし、相続では誰が車を取得するのかを確認する必要があるため、遺言書や遺産分割協議などを確認しながら進めます。
相続人全員が陸運支局へ行く必要がある?
必ずしも全員が窓口へ行く必要があるわけではありません。
本人申請のほか、委任状を利用して代理人が手続きを行うケースもあります。
必要な署名・押印・書類は相続方法によって異なるため、事前に管轄窓口へ確認してください。
遺産分割協議書がないと名義変更できない?
必ずしもそうとは限りません。
遺産分割協議によって一人の相続人が車を取得する場合は、遺産分割協議書が代表的な書類になります。
一方、遺言書、調停調書、審判書など、別の書類で相続関係を証明できる場合もあります。
相続放棄した場合はどうする?
相続放棄をした人がいる場合は、通常の相続とは必要書類が異なる場合があります。
関東運輸局では、相続放棄申述受理証明書の提出について案内しています。
相続放棄を検討している段階なら、車を処分したり売却したりする前に、相続放棄との関係を確認しましょう。
故人名義のまま車を売却できる?
相続と第三者への名義変更を同時に行う手続きはあります。
ただし、通常の売却とは必要書類が異なるため、売却先と管轄の運輸支局などへ事前に確認するのが安全です。
軽自動車も陸運支局で手続きする?
軽自動車は、普通自動車とは手続き先が異なります。
軽自動車の名義変更は、原則として軽自動車検査協会で行います。
まとめ
親が亡くなった後に故人名義の自動車を相続する場合は、まず車検証で所有者を確認しましょう。
そのうえで、
- 車検証の所有者を確認する
- 誰が車を相続するのか決める
- 相続方法に応じた書類を準備する
- 管轄の運輸支局などで手続きする
- 自賠責保険・自動車税なども確認する
という順番で進めます。
普通自動車などの移転登録は、所有者の変更があった場合、原則15日以内の申請が必要です。
ただし、相続では遺言書、遺産分割協議、共同相続、相続放棄などによって必要書類が変わります。
特に注意したいのは、「自動車の相続=相続人全員の遺産分割協議書が必ず必要」と一律に考えないことです。
実際の必要書類は相続方法や車の登録内容によって異なるため、車検証を用意したうえで、使用の本拠を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所などへ事前に確認してください。
この記事について
執筆・構成:どっぽ編集部
最終更新日:2026年9月
参照元
- 国土交通省・関東運輸局「自動車の相続による手続き」
- 国土交通省・関東運輸局「単独相続」
- 国土交通省・関東運輸局「共同相続」
- 国土交通省「自動車登録等適正化」
- 軽自動車検査協会「名義変更(売買・譲渡・その他)」
※必要書類や手続き方法は、車種・相続方法・登録内容・管轄によって異なる場合があります。実際に手続きをする際は、最新の公式案内を確認してください。



